グラウンドの隣にシルク・ド・ソレイユが出来おった。

続々と入ってくる人の数。
漂ってくるポップコーンの匂い。
……練習に集中できない。
くっそーーー
世界最高峰のエンターテイメント集団シルク・ド・ソレイユが送るツアーショー「トーテム」。

「トーテム」とは不可能を可能にしつづける“人類の進化“をテーマにした壮大な物語らしい。
なんかかっこいい。人類の進化がみられるらしい。
たしかに写真の中心人物、Tを飾っている彼は明らかに進化しまくっている。
スペイン・バルセロナでは本日3月23日〜5月20日までの期間限定公演。
わたしにとってのサーカスはサルティンバンコだったのに、今やトーテムになっているのか…

隣にシルク・ド・ソレイユが出来るというのがわかったのは、つい数日前である。
https://twitter.com/Jope_Mayu/status/974788765318295555
わたしは3月5日から日本へ一時帰国していた。
その期間はたった10日間。
3月15日にはスペインへ戻ってきて、次の日からいつも通りグラウンドに向かった。
するとこの有様である。


白いドーム状のものがそびえ立っている。
その名もシルク・ド・ソレイユ。

ぶっちゃけ日本に帰る前に気づいてたんじゃ?
さすがにこんなもの急に現れないでしょうよ?
なんて意見が飛んできそうである。はっはー重々承知している。
ただこれだけは言っておきたい。
日本へ出発する直前まで、この場所はまっさらな土地にセメントで綺麗に舗装されているだけだったのだ。

まあでもスペインでこんなに早く建物が出来上がるというのは、さすがにわたしも信じられない。
あの働かない国民性をもつ、スペインで。
サグラダファミリアの気が知れない。
そもそもこのシルク・ド・ソレイユ、カタカナで書くとどれが正しいのか?
ちなみにローマ字だと「CIRQUE DU SOLEIL」である。
シルクド…まで打ってみると予測変換で
シルクドソレイユ
シルクドゥソレイユ
の3種類が出てくる。
予測変換側も選んでくれというスタンスだ。

わたしはなんとなく区切った方がテンポが出て好きなので、シルク・ド・ソレイユでいくことにする。
……と思った矢先にフジテレビダイレクトのWebサイトでは「シルク・ドゥ・ソレイユ」と表記されていた。
やられた。

なんならタイトルもシルク・ド・ソレイユにしてしまっている。。
どうしてくれるんだ。。

今となってはこんな賑々しい建物が出来ているが
以前はこの土地、土・石・雑草のオンパレードだった。おまけに地面はでこぼこ。
ボールが柵を飛び越えていったとき、何度草をかきわけて探したかわからない。

そう、想い出の場所である。
そんなあるとき、工事用車両がぞくぞくと入ってきた。
みるみるうちに草や木がなくなり、平坦になっていく土地。

ここでいう「くっつきぼう」とは野原など歩くと洋服にくっついてくるトゲトゲのやつである
正式な野草名は「おなもみ」らしい
わたしの地元、大分の北部では「くっつきぼう」と呼ばれていた
ちなみに関西では「くっつき虫」らしい
おそらく地方ごとに呼び方が違うこの「くっつきぼう」を深く掘り下げてみたい気もするが、長くなりそうなのでやめておこう。
でもなんで関西ではくっつき虫なんだ?そもそもあれは野草で、虫でもなんでもない。いや待てよ、調べてみたら静岡あたりでは「とびつかみ」というらしい。どうしてとび……

このまっさらになった土地。
ある日の練習中、ボールを拾うために工事しているところに近づいたら、スペイン語ではないわけのわからない言葉が聞こえてきた。
1年半スペインに住んできたわたしの予想では、あれはアラブ語に近い言葉だった。
ちょっと気になってみたので、わたしは工事現場のおっちゃんたちに声をかけてみた。


スペイン人ではなく、ベルベル人だった。
モロッコのサハラ砂漠にノマド民族で住んでいるベルベル人である。
わたしは以前モロッコに一人旅をして、サハラ砂漠に行ってベルベル人と仲良くなったことがあったので、自然と親近感が湧いた。

ちなみにサハラ砂漠でのラクダに乗って砂漠1泊2日ツアーは控えめに言って最高だった。
時間がある人はぜひ行ってみてほしい。
>>参考:一生忘れられないサハラ砂漠1泊ツアーと満天の星空を大公開!
かくいうスペインで働くベルベル人は、日本でいう出稼ぎに来ているフィリピン人みたいな感じなのであろう。
とにかくこの華々しいシルク・ドゥ・ソレイユはベルベル人の汗水垂らして働いた結晶なのである。
それをちゃんとわかっているのか、あのサーカス集団は。
シルク・ドゥ・ソレイユはベルベル人が作っているといっても過言ではない。

ただほんのひとつだけ言っておきたいのが、これらを作るのに苦労したのはベルベル人だけではない。
そう、すぐ隣に位置するわたしたちクラブである。
お昼すぎの工事時間と練習時間がカブったときは最悪だ。
工事の音がまあうるさい。監督の指示する声なんて聞こえたもんじゃない。
そのうえ砂ぼこりがすごい。髪はキシキシになる。
天井部分が網状になっている用具室に置いていた用具はもう砂まみれだ。
砂塵で色が変わってしまうレベル。
そして昨夜、この苦労の代償にシルク・ドゥ・ソレイユが出来おった。


するとクラブの掲示板に張り紙がされてあった。
シルク・ドゥ・ソレイユのトーテム公演、クラブ関係者および選手やご家族は〇月〇日に限り特別価格35ユーロ(日本円で4700円程度)でご招待します。
……
やっぱり隣の空き地に作るしかないよねー
場所選びのセンスあると思ってたー
空き地の想い出?ないないー
騒音?砂ぼこり?そんなの全然気にしてないよー
完
サルティンバンコ×モーニング娘。の時代を生きてきました